子どもがつながる、学びが深まる「発問」 「個別最適化時代」の教師の問い
16面記事竹川 慎哉・豊田 ひさき 編著
「信頼に基づく」多様な応答
「発問の考え方」「個別の学び、協働の学びと教師の問いかけ」「探究学習と教師の問い」「争点のある学びと教師の問い」「子どもの多様性と学び」の五つのパートに全11章を収める。
副題の「個別最適化時代の教師の問い」とは「個別最適な学び」を効率化の原理による学びと捉え、その学びがもたらす「授業において『問う』ことの喪失」に陥らないため、追い求めた真正の「問い」のことである。
各章を通して哲学者や教育学者など先人の”発問観”に加え、執筆者らが実践や研究の中で磨いてきた、さまざまな”発問観”に出合うことができる。
例えば、何度も試みてきた国語の授業の山場で「突然おりてきた発問」がある(第4章学習集団づくりの授業)。詩の暗誦に取り組んでいた児童の発した「問い」が周囲を巻き込み、みんなのものになった「問い」がある(第5章一人ひとりの学びから生まれる「問い」と学び合う中で生まれる「問い」)。特別な教育的ニーズのある子に向き合うとき、正誤にこだわらず「自分の考えていることを少しでも表出できるようにする」発問がある(第10章子どもたちの特別な教育的ニーズを保障する教師の発問)。
「問い」とは教師と子ども、あるいは子ども同士の「信頼に基づく応答関係」であることが分かる。
発問、問いの在り方を見直すことのできる一冊である。
(2310円 学事出版)
(矢)