授業時数「1086時間」以上の学校、大きく減少 文科省調査
NEWS 本年度、標準授業時数を大きく上回る「1086時間以上」の教育課程を編制する公立学校の割合が、2年前から大きく減少したことが25日、文科省調査で分かった。中央教育審議会は昨年、緊急提言の中で、授業時数の見直しを求めていた。文科省は同日付の通知で、適切な教育課程の編成に向けて、教育委員会が指導・助言するよう要請した。
今年7~8月、全国の公立小・中学校を対象に、小学校5学年と中学校2学年での教育課程編成・実施状況を調べた。前回の令和4年度調査は抽出だったが、今回は悉皆で実施した。
本年度、小5の教育課程を1086時間以上で計画している学校は、17・7%だった。前回調査時の令和4年度は37・1%から、19・4ポイント減少。中2でも減少しており、令和4年度の36・1%から約21ポイントも減って15・2%となった。
小5・中2の教育課程を1086時間以上で編成している学校で、1015時間から上回っている分の時数の使い方を決めている学校は、どちらも7割程度。想定していない学校も一定数存在している。
時数の使い方を尋ねると、「学習指導要領の内容を漏れがないように指導するため」が小5で31・5%、中2で23・8%。「指導事項の定着・充実」が小5で32・8%、中2で41・6%、「学級閉鎖などの事態においても時数を確保するため」が小5で35・7%、中2で34・6%だった。
文科省は、災害や学級閉鎖で標準授業時数を下回っても、それのみをもって学校教育法施行規則に反しないと周知している。
また、学校教育法施行規則では、授業の1単位時間を小学校45分、中学校50分としている。本年度、小5と中2でそれ以外の時間に設定しているのは、それぞれ209校と129校だった。
文科省は1単位時間の工夫による柔軟な教育課程編成を推進するとしており、学習指導要領改訂に向けた議論の中でも、大きな論点となりそうだ。