野ばら
14面記事小川未明 文 あべ弘士 絵
物語は、隣同士に並んだ大きな国と小さな国の国境での出来事。
平和なこの国境には、両国から1人ずつ兵士が派遣され、国境を定めた石碑を守っていた。大きな国は老人で、小さな国は青年の兵士だった。2人は徐々に仲良くなっていった。
春のある日、青年は老人に「しょうぎ」を教わり、毎日指していた。そして季節は巡り、冬から春になった。その頃、二つの国は戦争を始め、2人は敵同士となってしまう。老人は「今日から敵同士となった。私は少佐だから、私の首を持って行けば、あなたは出世できる。だから殺してください」と青年に頼んだが、「どうして私とあなたとが敵同士でしょう。私の敵は他になければならない。戦争が開かれている北の方で戦う」と言い、去っていく。(小学校低学年から)
(1540円 金の星社)
(Tel03・3861・1861)