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教職調整額の引き上げは段階的に 財政審

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 財務省は11日、財政制度等審議会の分科会に、教職調整額を一定の条件の下で10%まで段階的に引き上げ、将来的に時間外勤務手当を支給する制度に移行する案を提示した。学校・教師が担う業務の3分類の厳格化などにより授業以外の時間の抜本的な削減を条件にすることとした。文科省の要求した13%の調整額では教師の魅力向上につながらず効果は乏しいと指摘した。
 教員給与特別措置法(給特法)では、法制定時の平均残業時間に合わせて基本給の4%を教職調整額として支給すると定めている。中央教育審議会は8月に出した答申で、人材確保法の趣旨を踏まえた上で「教職調整額を少なくとも10%以上」とすることを処遇改善策として提言。これを受けて、文科省は来年度予算の概算要求に13%とすることを盛り込んだ。
 これに対し、財務省案では、一定の集中改革期間を設けて、「3分類」の厳格化や勤務時間管理の徹底などを進めた上で、残業代を支給することが教職の魅力向上につながると指摘。教職調整額を改善する場合は10%を目指して段階的に引き上げつつ、将来的に国庫負担は月20時間を上限に残業代を支給する仕組みに検討することも示した。
 文科省案については、教職調整額の13%は月26時間(年間312時間)の時間外在校等時間に相当するもので、中教審答申の「月20時間程度に縮減」という目標との整合性に欠けると指摘。13%に引き上げる場合にかかる国・自治体合わせて約5600億円の安定的な財源も示されていないと批判している。
 財務省はこの他、文科省が要求してきた教職員の増員や外部人材の配置が、在校等時間の削減につながっていない点も問題視している。

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