一刀両断 実践者の視点から【第601回】
NEWSいじめ重大事態調査と校長の負担
このたびの文科省調査で「いじめ重大事態」が大きく増えた。重大事態が起こった際の調査は学校にとって大きな負担である。伝手もなく支援もなく相談しても解決にならない為に校長は追い詰められる。
仮に訴訟を抱えるとその心労はかなりのものとなる。私にもそうした裁判の経験があるから、その孤独と脳裏から離れない重たさは理解できる。
最近は、保険に入っている管理職も多い。それでも、事務的な弁護士事務所となると虚しさと法の壁を感じさせられるものである。
校長職とは実は一番不安定な職業かもしれない。経験は乏しくても現代の諸課題に対応しなければならないし、責任も追及される。下手をすると、多方面からのサンドバッグ状態になりかねない。
しかし、それに耐えられる知識や経験を持ち合わせている訳でなく経営するのだから心労は重なる。校長会や教委からの理解やサポートでなく、責任を追及される姿を教諭が見ていたら、校長職にはなりたいとも思わないだろう。
なりたい職になるよう、政治や行政が抜本的に改革し改善しない限り、「ああはなりたくない」となってしまうのではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)