一刀両断 実践者の視点から【第599回】
NEWS家庭への介入
北海道小樽市で先月、小学校低学年の女児が母親からの暴行によって亡くなったという。逮捕された母は、昨年12月、女児の欠席が続いたことについて、市の子ども家庭センターに相談していたとのことである。
このような家庭には、しかるべき機関に介入させる権限を持たせない限り防ぎきれないだろう。虐待の兆候を何処でどの様に確認するか。
ある時、顔にアザを作って登校してきた児童がいた。担任が連れて来たので、本人に確認すると昨夜駅前で高校生に殴られたと説明した。
近隣高校に事実確認をしたが、その様な形跡はなかった。そこで保護者を呼んで話したところ父親が折檻した事が分かった。父親を庇っていたのである。
子どもは概して親を守る事が多く、それがひどい親でも守る傾向がある。親を失う事への不安があるからかもしれない。
今回の事件は相談を受けていた家庭センターが何処まで踏み込んだかが気になる。人災を止めるならば、人命保護の視点から権限を明確に与えないと二の足を踏んで手遅れになる。民生委員児童委員への権限付与も同様に考えなければならないだろう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)