温暖化防止を自分ごととして考え、実践する エネルギー環境教育プログラム「みんなでエネチャレ」
7面記事写真左から曽根原和明主任教諭、三村雄大主任教諭、浅見登志子主幹教諭
授業を終えて―担任インタビュー
東京ガスがエネルギー教育支援活動の一環として実施している出前授業「みんなでエネチャレ」。SDGsのゴール13「気候変動に具体的な対策を」の達成に向け、子どもたちが具体的な省エネ行動を知り、日々取り組むことの大切さを学ぶプログラムだ。実際にその出前授業を受けた国分寺市立第十小学校の5年生3クラスの担任の先生方―浅見登志子主幹教諭、三村雄大主任教諭、曽根原和明主任教諭(以下敬称略)に授業を終えての感想や今後の期待などについてお話を伺った。
曽根原 今回の出前授業で良かったのは、タブレット画面にチェックを入れるだけで、二酸化炭素の削減量や、省エネの工夫でどれだけ節約できるのかがはっきり分かったところです。ゲストティーチャーがいて、なおかつタブレットでアプリ(エネチャレ大事典)を使うという点で、子どもたちの中には特別感があったと思います。
三村 すでにSDGsは学んでいたので、エネルギーを学習するきっかけとしては入りやすかったですね。
浅見 具体的に「1年間で減らせる二酸化炭素の量は○○kg、節約できるお金は○○円」と数値で出ると分かりやすいし、子どもがすごく興味を持ってくれる。動機付けという形で、地道な省エネ行動への種まきをしていくことはとても大事だと感じました。
三村 実際に出前授業の後、教室の電気はこまめに消そう、という子も数名いました。そんな子たちがチームを作って他学年や地域に発信していく―一気に広がるというよりは「根を張る」ような感じになればすごくいいですね。
曽根原 大人から子どもに発信するよりも、子どもから子どもに発信する方が影響力があると思っています。全員が環境問題に興味を持っているわけではないので、興味を持っている子どもや教員が環境委員会のような集まりを作って、1年とか数年かけて取り組むのもありかなと。できたら1回限りの授業ではなく、1、2週間ぐらい後にゲストティーチャーに来てもらい、子どもたちが成果を報告するという機会があってもいいかなと思いました。
三村 我々教師が「やってみましょう」と言うのと東京ガスの方が「やってみましょう」と言うのでは子どもの受け取り方が違います。「1週間後に実際にやったことを教えてね」と呼びかけるだけでも、その1週間、子どもは意識的に省エネに取り組むと思います。それが継続されれば省エネ行動が家庭や地域に広がっていく可能性はあります。
浅見 数値目標があることで、大人もやる気が出ますね。出前授業の事後学習で、「家の人と相談して家族でチャレンジできる工夫、1年間続けられる工夫を選ぼう」という課題があります。そこで保護者が具体的な数値を目にすることで、「じゃあ家族みんなでやってみようか」と省エネ行動に取り組むきっかけになることを期待したいですね。
実施校校長インタビュー
坂井由利子校長
同校の坂井由利子校長に、出前授業「みんなでエネチャレ」実施後の感想や提言、学校現場でのエネルギー環境教育の意義、課題などについてお話を伺った。
広い視野に立ち、興味関心を行動に結びつける
エネルギー環境教育の必要性というのは確かに感じています。学習指導要領にも現代的な諸課題に関する教科等横断的な教育内容の一つに「環境に関する教育」が取り上げられています。また、社会科の学習として、「飲料水、電気、ガスを供給する事業」について触れられています。持続可能な社会の担い手を育てていくためにも、エネルギー環境教育はとても大切だと思っています。ただ、それだけではなく、SDGsという広い視野に立ち17項目の中から持続可能な社会のために何をすればいいのか、子どもたちが興味関心を向けたところから進めたいと考えています。
事後学習で家族の会話にもつながる
今回の出前授業では、タブレットのアプリ(エネチャレ大事典)上でいくつかある省エネの工夫にチェックを入れると、二酸化炭素を減らせる量や節約できる金額がすぐに計算されて出てきました。そのような仕組みは子どもの興味関心を引きやすく、導入としては本当に良かったと思いました。そして、さまざまな省エネの工夫を知った後に、お家の人と相談しながら家庭でできる省エネ行動にチャレンジしてみよう、という事後学習も勧めていましたよね。家族で省エネの工夫を選べばコミュニケーションも取れます。保護者や地域の方が子どもによって意識付けられることがあるので、省エネにチャレンジしてみようと思う大人も増えるのではないでしょうか。
ゲストティーチャーの存在が探究のきっかけに
専門家がゲストティーチャーであることも大きいと思いました。例えば、排出された二酸化炭素をリサイクルして「eメタン」という都市ガスの素を作る研究をしています、というお話がありましたが、それに関して子どもたちが質問したときには専門家でないと答えられません。アプリ開発も含め、教員ではなかなかできないことなので、ありがたいですね。子どもの興味関心も広がりますし、調べたいことが深まり、エネルギー環境について探究しようという意欲を高める子もいましたね。
先ほども申し上げた通り、学校内だけで省エネ行動を進めるのは難度が高いです。ですから、本校では、「国分寺学」として、子ども発信で地域や家庭を巻き込んだ学習活動を進めています。学校公開とか、親御さんがいる前で出前授業を実施してもいいかもしれませんね。
問い合わせ=東京ガス(株)次世代教育センター
電話03・5400・7513
https://www.tokyo-gas.co.jp/network/kids/