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国立大学法人兵庫教育大学教育実践学叢書7 教師の総合的力量形成 学習指導と生徒指導の統合に向けて

16面記事

書評

松本 剛・隈元 みちる 編著
理論・実践の往還的研究から

 本書は、兵庫教育大学専門職学位課程教育実践高度化専攻に所属の「教育方法・生徒指導マネジメントコース」で取り組まれた研究の具体を紹介している。理論と実践の往還的な研究であり、学校現場とアカデミアの双方から学び合い理論と実践の融合をみることで、学校教育の課題解決に貢献することを目指すものである。多くの諸課題を抱える学校現場に有益な解決の方向性が示されるのであれば、大いに活用し、子どもたちの「生きる力」を育む一助にしていけるはず。
 例えば、第Ⅱ部「教師の力量形成の実際」では教員組織にあるメンタリングについて述べられているが、その中でコーチングの実践研究で示されたストレングススポッティングという他者の強みを見いだし生かす力についての実践検証が多彩で興味深い。ここでは現職教員と教員養成課程の学生を比較し検証しているのだが、この概念を備えることで学習指導と発達支持的な生徒指導にも役立つという。
 今後も教師の力量向上が求められる。そこで本書が指し示す方向性は不可欠なものといえるだろう。学習指導と生徒指導を有機的につなぐ統合的な力量形成は、教師に必要な資質・能力として大きな位置を占める。専門性の高い硬派な本書を読破するには時間を要するだろうが、貴重な検証資料やその結果分析・考察など学ぶことが多い。
(2860円 ジアース教育新社)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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