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校舎の改築・改修に伴い、各教室に天井埋込式の加湿器を整備

10面記事

施設特集

加湿器本体。各教室の天井の対角線上に2台設置

東京都葛飾区立西小菅小学校

 冬の時期は空気の乾燥が進んで感染症リスクが高まることから、学校現場では室内の湿度を50~60%に保ち、児童生徒の体調管理に努める必要がある。そのため、近年では老朽化した校舎の改修に併せて、教室などに単独運転型の加湿器を整備し、低湿度を抑制する学校が多くなっている。そこで、設置から2年が経過した葛飾区立西小菅小学校の原田英徳校長に、これまでの活用状況や効果について聞いた。

以前の教室とは隔世の感がある

 地域に開かれた学校づくりを目指す同校は、令和4年9月に既存校舎の改築・改修を完了し、学習・生活両面においてゆとりのある空間に生まれ変わった。その上で、児童や教職員が快適で健康的に過ごせるよう、各教室や職員室にエアコンなどの空調機とともに整備されたのが、ウエットマスター(株)の滴下浸透気化式加湿器「てんまい加湿器」だ。
 同機は単独運転かつ室内空気に直接加湿する方式のため、空調機の運転に左右されずに室内全体を加湿できるのが特長。本体を天井内に、吸込・吹出口となる化粧グリルを天井面に取り付けて使用するため、美観性にも優れている。しかも、強運転でもわずか40dBと静穏性も確保。それゆえ、学習環境にもフィットするとして学校での採用が進んでいる。
 このような天井埋込式の加湿器が整備された学校に赴任するのは初めてという原田校長は、「気密性の高い学校施設は冬場になると暖房を使うため、どうしても乾燥が進みやすい印象があり、喉がいがらっぽく感じた日もありました。ですから、家庭用のポータブルな加湿器を使ったり、それこそ濡れ雑巾をぶら下げたりしていた当時を考えると隔世の感があります」と振り返った。

意識しなくても常に快適な学習環境を提供

 加湿器の運転は各室に設置されたリモコンスイッチをONにするだけなので、教員ごとの裁量に任せているという。「12月の暖房を入れるタイミングに合わせて使い始め、翌年の3月末くらいまで活用しているでしょうか。そのほか、今は熱中症予防として暑さ指数計も常備しているため、湿度が下がったときなどは臨機応変に稼働させています」と語る。
 また、家庭用の加湿器と違って水の補充やフィルターの清掃に時間を取られることもなく、メンテナンスも業者が年1回行えば済むなど、実質的な手間がかからないのも長所。エアコンなどの空調機の利用を含め、教職員が意識しなくても常に快適な学習環境が保たれていると評価した。
 とりわけ、この夏にはコロナ禍で抑制されていた子どもに多い感染症が流行したように、今冬にはインフルエンザ以外にもさまざまな感染症への警戒がより必要になっており、適切な加湿によって湿度を一定に保ち、集団感染リスクを防いでいくことが大事になる。それだけに、「子どもたちが健康的に学校生活を送るための環境を整備していただいているのは、現場の人間としてはありがたい。しかも、特別教室しかり、学校のどこに移動しても同じ条件下で学びに集中できるのは大きいと思います」と口にした。

加湿器操作スイッチ。教室前方に取り付け

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