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一刀両断 実践者の視点から【第589回】

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論説・コラム

被爆者団体への平和賞

 日本原水爆被害者団体協議会が今年のノーベル平和賞を受賞する。このニュースは極めて重要な事であり、全国の学校での授業にしっかりと位置付けて扱うべき内容である。
 当事者が高齢のために次々に亡くなっていく現実の中で、自分の体を晒しながらもその恐ろしさを訴え続いてきた活動の継続は我が国という被爆国だからできる事であって、今また原子爆弾の使用をちらつかせる戦争指導者への警鐘として極めて重要なメッセージとなるだろう。
 今でも目に焼きついている写真がある。それは、傷痕をさらして世界を先導し、1982年の国連軍縮特別総会で、長崎で被爆した自身の写真を手に核廃絶を訴える山口仙二氏の姿である。
 校長の頃、自らの体験を伝えたいと白血病と闘いながらも講話に来て頂いていた方がいた。その際に、語られた一言が忘れられない。《仲間からも「惨めだからもうやめたら」と、冷たい目で言われるんです。》
 涙ぐんで話された。外から言われるのは耐えられても、仲間から言われることの辛さは計り知れない。こうした葛藤の中で話されている事実を教師としてどう伝えるか考えさせるか、今しかできない事は多くある。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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