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義務教育9学年をすべて担任した学校心理士スーパーバイザーが語る 特別支援が必要な子どもの高等学校進学の話

14面記事

書評

山内 康彦 著
多数の学校取り上げ特色紹介

 日本において高校卒業の意味は大きい。大学進学資格ということだけではなく、さまざまな国家資格で高卒以上が条件となっている。
 本書は、特別支援学級や不登校の生徒が進学できる高校の情報を整理して掲載している。
 まず、不登校を含めた特別支援教育の現状と課題をまとめている。特に、特別支援学校高等部を卒業しても、高卒資格にならないこと、さらに就労が難しいという現実は、周知されているだろうか。
 また不登校生徒には、近年「学びの多様化学校」が各地に生まれている。ただその卒業後の進路は、東京の例では多くが通信制高校やチャレンジスクールとなっている。
 著者は小・中学校の教員を務め、さらに教育委員会で就学指導も担当している。さらに学校心理士の資格も取り、ついには特別支援が必要な子どもの学校を設立した。その意味で本書の内容は分かりやすく、説得力がある。
 本書では自身の設立した高校だけでなく、不登校や、特別支援が必要な子どもが進学できる高校の情報が多く掲載されている。さらに通信制サポート校についても実践例が掲載されていて大変参考になる。
 現在、N校など通信制高校の人気が高まっている。さまざまな理由で学びの多様化が求められている。中学校で進路を担当する教員には必読の一冊である。
(1650円 WAVE出版)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)

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