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学級経営こそ、教師のやりがい 教師力は学級経営力

12面記事

書評

鈴木 亮太 編著
多様な子との信頼の築き方

 学習指導力とともに学級経営力は、教師にとっては必須である。だが、教科指導力に重きを置きがちな教員養成課程を経た教師にとって、多様な子どもたちと関係を結んでいく学級経営に対する不安は今も昔も絶えない。
 本書は、編著者や、多くの執筆者が自ら実践した、あるいは保護者が出会った教師の学級経営観に触れることができる点が特徴だ。
 学級経営の基本(第1章)や、学校の課題を踏まえた管理職が見た小・中学校の学級経営(第2章)が総論なら、例えば第5章のICTを活用した実践、クラスの歌を創作して心を一つにする取り組み、中学校、高校の学級担任、学級経営の在り方を示す「学級経営を楽しんでいる教師の実例」は各論である。
 この他にも、特色ある総合的な学習の時間を学級経営につなげる試み(第6章)や、カウンセリングやキャリア教育の切り口で学級経営を語る章(第7、8章)。学級経営の基盤となる「支持的な学級文化」を醸成する言語環境(第4章)を提案する章もある。
 編著者の語るように学級経営は「先生の個性(人間性)を発揮することができる営み」。各章を通し、その根底には子どもと教師の信頼関係があることが分かる。その関係の結び方は子どもの実態、教師の人間性、指導観によって、十人十色。教師一人一人が自分なりの方法で学級経営という「やりがい」に出合うことを願う応援の書でもあろう。
(2200円 日本文教出版)
(矢)

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