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リフレクション型国語科授業 「問い」をつくり、「問い」で読み合い、「問い」を評価する

12面記事

書評

白坂 洋一・香月 正登 著
「子どもが主語」の学びで事例

 「子どもが主語の授業づくり」という言葉をよく耳にするものの、それが具体的にどのような授業を指すのか、それを実現する方法に悩む教員は少なくない。
 本書は、子ども主語の国語科授業の共同研究をリフレクションの観点から再考し、子どもの姿を基に3章にまとめられている。
 第1章「リフレクション型国語科授業とは」では、「おにたのぼうし」を題材に、問いの決定を子どもに委ねる授業の具体的な姿が見える。第2章「『子どもの論理』とリフレクション」では、「こまを楽しむ」や「ごんぎつね」において子どもが自らの学びを分析する振り返りを事例に、論の展開がある。第3章「リフレクション型国語科授業の実際」では、「白いぼうし」「世界でいちばんやかましい音」について単元を通した実践と、子どもたちの交流の様子がある。そこに出てくる教師による「問いかけ」は、事前に準備した発問ではなく、子どもたちの思考の文脈に応じたものであり、教師の役割とは何かを考えさせられる。
 「子どもが主語の授業」を求めるべきだと感じつつも、教師の「教える」という意識が根強く残る現実がある。著者が提示する「発問という指導技術を使っている限り『子ども主語』の学びは生まれないのではないか」を一つの視点として授業を考える一冊である。
(2200円 東洋館出版社)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室主任)

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