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一刀両断 実践者の視点から【第577回】

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論説・コラム

動物飼育の重要性

 《学校飼育動物で小学校調査 休日の管理、1割不適切》という本紙の記事には様々な課題が見えてくる。
 私も初任の頃、飼育委員会の担当となりウサギの世話をした。ある寒い雪の朝、「子供をたくさん産んでいた」と飼育委員の児童から連絡が来た。初めての経験であり、凍えないようにと藁に移して経過を見守った。
 人間が触れると親が子を食べるか放置するという習性を知らなかった為に全ての子ウサギを死なせてしまった。生き物はこちらの都合では生活しないので、ある意味振り回される。
 クラスで魚を飼育しても病気にもなり、多くの死を味わった。捨て猫を拾ってきて教室で数日飼育したこともあった。
 生き物を飼育する事は情操教育には極めて大切であり、亡骸を校庭の隅に墓をつくり子供らと手を合わせた事は何度もある。最近は、去勢手術も出来るようになったが担当はいつも気にかけることになる。
 以前は理科の授業で生きたカエルの解剖や鮒の解剖があったがいつの間にか消えている。可哀想という理由なのかも知れないが、フードロスで廃棄される肉や野菜も全て命あったものではないだろうか。
 動物飼育の現状に対して、文科省は是正するよう通知したとのことである。指摘はできても納得のいく対策や解決策を示さない姿勢に腹が立つ。まず飼育委員会などを担当してから発言されてはどうだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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