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ICT授業支援アプリ「ClassPad.net」で深まる教科の学び

14面記事

企画特集

生徒が描いた“chicken”などを全体で共有

京都女子中学校・高等学校

 明治32年より、京都の地で女子教育を続けてきた京都女子中学校・高等学校(林信康校長、生徒数1623)。仏教精神に基づく「自立・共生・感謝」の校訓のもと、自主的精神にあふれ、自他の命を尊重し、他者と協働しながら社会に貢献できる人間の育成に力を入れている。カシオ計算機(株)のICT授業支援アプリ「ClassPad.net」を導入し、一斉授業から個別最適・協働的な学びへの転換を目指す。授業での活用法とその教育効果を紹介する。

一斉授業からの脱却を目指して

 同校はICT教育に関して全校でChromebookを活用。中学生は2021年4月より全員に貸与、高校生は2022年度より年次進行で1年生から自費購入を進めた結果、今年度、全校生徒の端末の整備が完了した。林校長は「授業だけでなく文化祭や生徒会行事、部活動など学校生活全般にわたり活用の場が広がっている」と、1人1台端末の利用が定着した様子を語る。
 今後、さらなるICT教育を進めるために導入したのが、ClassPad.netだ。旧来の「講義型授業」から「双方向型授業」への転換を図れると感じ、導入を進めた。

数学ツールではかどる復習

数学ツール「ClassPad Math」を活用して問題を解説

 中学2年の数学科では、三久保貴史教諭がClassPad.netの数学ツール「ClassPad Math」を使って1学期の復習を行っていた。「ClassPad Math」は簡単な操作で画面上にグラフや図形を描画でき、それらを自在に動かすことで理解を深めることができる。
 三角形の図形の面積を変えずに形を変える「等積変形」の復習で三久保教諭は「ClassPad Math」の画面を投影し、平行線上で頂点を動かして見せた。どのように動かしても「高さ」は同じで面積は変わらないと瞬時に理解することができる。その分、生徒はじっくりと演習プリントに取り組むことができた。
 三久保教諭は「黒板だけを使っていたのでは説明に時間がかかるような内容を、ClassPad.netを活用すれば時間短縮になり生徒の活動時間を確保できる」と話す。1コマあたり10分の余裕が生まれる体感だという。「動かして見せれば百聞は一見に如かずで、理解度が高まり、問題解決のスピードが上がる」と内容定着の面での効果も感じている。

英文が意味するものは?
描画を共有し理解を深める

 高校2年の英語科では、東郷秀朋教諭が冠詞“a”と“the”の違いと使い分けを、視覚的に理解するユニークな授業を試みた。冠詞は、形や輪郭のあるものを指す場合は“a”、特定のものを指す場合には“the”と使い分けると説明されることがある。東郷教諭は冠詞が使われた英文をいくつか示し、そこから想像するイラストを生徒に描かせた。
 “Last night, I ate a chicken in the backyard.”の例文を読んだ生徒たちは、ClassPad.netのデジタルノート上に“chicken”が意味するものを描いた。それぞれどんな絵になったかをプロジェクターで投影してクラス全体で共有するとどっと笑いが起きた。ニワトリを描いた生徒、こんがり焼けたチキンソテーを描いた生徒といろいろだ。そこで東郷教諭が解説を加える。“a”が使われているのは輪郭が分かるものを指すことから、この場合は鳥を丸々一羽食べたという意味となり、ニワトリが正解だ。もし、鶏肉という意味なら冠詞は不要で“I ate chicken”となるはずだと。イラストを描く楽しさも手伝い、生徒にとってインパクトのある楽しい授業になった。「冠詞の本質的なイメージを定着させたかった」と話す東郷教諭の狙い通り、生徒の理解も深まったようだ。
 東郷教諭はClassPad.netのメリットとして「ClassPad.netは共有が容易にできる。クラスメイトのアイデアや意見をシェアすることで生徒はよいお手本を得られる。友達が書いた内容には親近感がわき、アイデアとして取り入れやすい。自分と異なる意見に出会えるチャンスを与えてくれるという意味で、教育効果は非常に高いと感じる」と話した。

日常からICTに触れて将来に生かす

 ClassPad.netを使い始めて、生徒の学習や生活にはどのような変容がみられるのだろうか。中学2年のM・Kさんは「ClassPad.netにすべて辞書が入っているので調べるのが便利で、いつも使っている」という。小学生のころはPCが苦手だったというM・Kさん。同校でPCに触れる機会が増え、「タイピングや機能の使い方にも慣れてきて、少しずつ好きになってきた」と笑顔を見せた。
 水嶋奏帆さんは高校2年生。進路実現に向け学習時間の確保が気になるところだ。端末・アプリが導入されてからは、登校の無い日に課題を出されても「休日でも時間のある時に課題に取り組めるのが良い」と、モチベーションが高まる点を評価している。
 高校2年の田辺晶子さんは、同校について「多彩なコース設定で、いろいろな人と関われるのがこの学校の魅力」と話す。ClassPad.netでは、英作文を書くときにオンライン辞書機能が大活躍するそうだ。「ネット検索だと言葉の意味しか出てこないが、電子辞書を使えば意味だけでなく例文や語源までを一気に見ることができる。検索履歴が保存できるので、その単語を初めて調べたのか、それとも既に調べたのに覚えていないのかが分かる」と活用法を話した。
 将来は医師を目指したいと考えている田辺さんは「カルテはデジタル化され、医師同士で共有する時代になっている。特に緊急事態時には素早くデータを見たり探したりすることが大切になるはず。今の授業でたくさん端末に触れることが、将来の医師の仕事にも生かせると思う」と夢を語った。
 京都女子中学校・高等学校公式HP、ClassPad.net無料トライアル版については、次のURLを確認。

 京都女子中学校・高等学校 公式HP
 https://kgs.ed.jp

 ClassPad.net無料トライアル版
 https://classpad.net/jp/

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