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「8つの知能」をいかすインクルーシブ教育 MI理論で変わる教室

14面記事

書評

本田 恵子 編著
特性踏まえた授業づくり提案

 アメリカの心理学者ハワード・ガードナーが提唱する「知能は単一ではなく、複数ある」というマルティプルインテリジェンス(MI)理論に依拠しながら、脳科学を生かした授業づくりを提案した。
 左脳に言語・語学的知能、論理・数学的知能、内省的知能、博物学的知能、右脳に音楽・リズム的知能、視覚・空間的知能、身体・運動的知能、対人的知能の計八つの知能があるとし、MIを生かした学びでは「得意な知能を活性化して苦手な知能を育てていく」。
 本書タイトルにあるインクルーシブ教育は「障害に限らず、『全ての子どもたち』が学びやすい授業が本来求められているインクルーシブ教育」との課題意識が背景にあり、児童・生徒のMI特性を踏まえ「全ての子どもたち」の学びやすさを保障する授業へとつながる。
 例えば、小・中学校での「学びの多様性を活かした授業実践」(第3章)には言語・語学的知能より身体・運動的知能が優れる特性のある生徒がいろいろな活動を通して英語表現を学び効果が上がった取り組み例、音楽・リズムの知能の高い生徒の多い教室では音を題材に虫の絵を描き、虫の説明を書くことへと展開する美術の実践などが掲載され、授業づくりの新たな切り口が見えてくる。
 MI特性が分かる座席表を手に授業参観するなど、MI理論に基づく段階ごとの研修の仕方・進め方の実践例も参考になる。
(2420円 学事出版)
(矢)

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