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TAKT授業のデザイン 批判的対話がつむぐ笑顔の教室

13面記事

書評

田島 充士 監修 藤倉 憲一・武元 康明 編著
「他者」が生む創造的な学び

 「異質な文化集団に開かれた子どもたちのコミュニケーション能力を促進し得る教育の要素を示すキーコンセプト」として、他者を「T1」、愛情を「A」、会話を「K」、対話を「T2」と略称して表したのが「TAKT」授業。「正解」「効率的」「量」で捉える従来の授業である「工業生産モデル」型からの脱却を目指し、そのための授業アプローチの手だてを提案した。
 特徴的なのは「誰かのために」学ぶという他者性を設定したことだろう。「誰かのために」という目的とともに、「何のために」学ぶかという動機を大事にした実践を理論化した。
 第1部理論編では、TAKT授業が提案する「対話的な学び」が実現する教育、TAKT授業の実践デザインなどの解説が収まる。第2部実践編は大阪市内を主にした公立小学校1年から6年の誰かのために紡いだ7編の「物語」授業を収めた後、「まとめ」を第3部に置いた。
 実践編では例えば、コロナ禍に展開した小学3年生の「コロナウイルスとの物語」。コロナウイルスを理解する学びから、低学年という他者に学んだことをどう伝えるか、創造的な学びを生み出していく様子は、TAKT授業の本質を理解しやすい。
 副題にある「批判的対話」は、いわゆる”ツッコミ”文化に耐性のある児童たちには親和性があるのではないか。子どもらの生き生きとした姿、教師の授業観の変容を伝える実践報告は出色だ。
(2640円 福村出版)
(矢)

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