つながる読書 10代に推したいこの一冊
18面記事小池 陽慈 編
読み書きのプロら 魅力を熱弁
10代の若い人たちに本の向こう側の世界への扉をたくさん押してほしいという願いを込めて、「つながる読書」の魅力を伝えようとする熱い「本の本」。14人の「読み書きのプロ」が推す一冊を紹介する第1部を中心に、それを読んだ他の執筆者による手紙形式の文章や対談も織り交ぜられている。
読書の魅力を人に伝えるのは難しい。まずは体験してほしいと思うが、読書に限らず、人に勧められたからといって、なかなかすぐにやろうとは思わないし、勧めるほど遠ざけてしまうこともある。
それでも、特に若い人たちには本と仲良しになってほしい。本書の言葉を借りれば、「好きなものに出会うきっかけ」(小川貴也さん・中高教員)を増やすことにもなるし、そういう目的でなくても「楽しく読むのが一番で、正しい読み方なんてない」(草野理恵子さん・詩人)というアプローチでも構わない。
個人的には、それぞれの文章に表れた執筆者の方々の「言葉」に対する感性のようなものも興味深かった。例えば「傷つく」「傷つける」という言葉について、2人の方が触れている。一見、逆のことを言っているようにも見えるが、どちらもその通りだと感じる。いろんな読み方、味わい方ができる本でもある。
本の世界への入り口は多いほど良い。本書がその一つになればうれしいし、先生方も子どもたちに本の楽しさを語ってほしい。
(1078円 筑摩書房(ちくまプリマー新書))
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)