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捨てられる教師 AIに駆逐される教師、生き残る教師

16面記事

書評

石川 一郎 著
学校をアップデートする指針に

 令和5年、チャットGPTをはじめとする生成AIの登場により、学校現場における生成AIの活用が始まり、「AI教育元年」を迎えることとなった。歴史を振り返ってみれば明らかなように、学習用具の技術的進歩は、これまでもその都度、学習活動に変化を及ぼしてきた。例えば、1920年代にノートと鉛筆が普及したことで、筆記活動が増えるとともに「宿題」が誕生し、学習の景色はガラリと変わった。生成AIの登場は、それ以上のインパクトをもたらすことが予想されるが、本書は時代の変化に合わせて教師や学校の在り方をアップデートするための明確な指針を与えてくれる。
 著者は多くの学校改革に関わる石川一郎氏。本書のタイトルはセンセーショナルだが、目次を開いてみても「Z世代が親になるとき、昭和の教育は終わる」「もう教師に『指導力』はいらない」といった、決して穏やかとはいえない見出しが並んでいる。だが、本書は単に教師たちのありように対して警鐘を鳴らすだけにとどまらず、学校を真に創造的な場にするための具体的・実践的なアイデアを数多く示している。著者は「生成AIの登場は教育において脅威ではなく、使いようによっては子どもの思考力や想像力、創造性を育む好機である」と述べているが、本書を通読すれば、最新ツールの「食わず嫌い」を避け、教師像を再構築するための豊かなヒントが得られるだろう。
(990円 SBクリエイティブ(SB新書))
(井藤 元・東京理科大学教授)

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