日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

一刀両断 実践者の視点から【第534回】

NEWS

論説・コラム

管理職の力量と教員の不祥事

 《授業支援アプリで生徒に性的画像や誹謗中傷 中学教諭を懲戒免職》(朝日新聞社)という見出しの記事に違和感を持った。
 記事によると、懲戒免職となった人物は自分の行為は生徒によるものだったと責任転嫁しているという。また、この人物が生徒と私的に交流しているとの報告を受けていた校長は、職員会議で注意喚起するにとどまり、実態を調べなかった。校長と教頭は戒告処分、訓告処分を受けたという。
 こうした処分では済まないのではないだろうか。簡単に表現するなら甘く見ているという事である。管理職が職員会議で注意喚起するにとどめるレベルの内容ではなく、犯罪レベルと判断出来ていない認識に驚かされてしまう。
 リーダーの力量は判断力で分かると私は新任校長に説明して来ている。その視点からも完全にアウトであり、降格対象として再度研修を受けるべきと思う。
 しかし、管理職の成り手がいない現状にも問題があり、こうした判断ミスをどこまで防げるかも心許ない。
 やはり力ある人材の育成と登用が背景にあるのではないだろうか。
 管理職手当は退職金や年金に反映されない現状を改革してその上乗せをすべきではないだろうか。
 安給与で採用し責任だけ取らせるやり方では、意欲はあっても志願はしない現実がこうした結果を招く一因になるのではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

論説・コラム

連載