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一刀両断 実践者の視点から【第532回】

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いじめ重大事態、「30日の欠席」がすべてか

 福岡県大野城市の小学校で、いじめを受けていた児童が転校した問題に関して、教育委員会は重大事態には該当しないと市議会で答弁したという。その理由について、「土日を除いた欠席日数は25日間で、重大事態の目安の30日を下回っている」などと説明していたと報じられている。
 この記事を見てその形式が実態に合っているのかと疑問を抱いた。長期欠席の30日にならないならば重大事態とは捉えないでよいのか。
 数日の欠席の後、死に至るケースは起き得る。30日の根拠は乏しい。
 これまで見直す事なく「30日の壁」により後手後手にしてきたのが現実ではないだろうか。
 「誠意はスピード」と私は信条にしてきたし、常に最悪を想定して判断するように講義をしてきている。
 その点からすると30日に満たないので重大事態とは言えないという認識や答弁は軽々過ぎて人道の視点からして話にならない。
 仮に重大事態と見ない理由を日にちの累積でなく、具体的な理由や事実を並べて回答するのならまだ誠意を感じるが、それを答弁書にして教委の総意とし出すのだからその認識で一致していると判断される。
 教委には教員上がりの職員が多いだろうから、その矛盾を是正しようという行動を取ろうとする意思のある人物がいて欲しいものだ。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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