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むずかしい毎日に、むつかしい話をしよう。

18面記事

書評

平熱 著
支援学校の教員、本音つづる

 特別支援学校の教員をしながらSNSで発信している著者が、働く上で感じたことや大事にしていることなどを、「むずかしくない」言葉でつづった、心がほっとする本。
 「自己肯定感なんて伸ばさなくてもつぶされなければ『伸びる』」「学校は多くの子どもたちにとって『逃げられない場所』」だから、「子どもたちの『やりたくない』をもっと尊重してあげないといけない」など、きっと多くの教員が本音では「そうだよな」と感じていることを、そう感じていいんだよ、それが普通なんだよ、と肩をたたいてくれる気がする。
 特別支援学校の子どもたちをサポートする上で大切にしていることとして、「たとえば、子どもたちが苦手なことと向き合っていくには『できたほうがいい』と『できなくてもなんとかなる』を『同時にもつ』と意識して取り組んでもらえるように心がけています」という。
 それが大切なのは特別支援教育だけではないですよね。特別支援教育は全ての教育に通じる基本だと改めて実感する。
 また、「がんばってる人を見たときは『あの人がんばってるな』で止めておく」とある。なぜだか分かりますか?―「それに比べて自分は」なんて続けない方がいいから。その通り。人は一人一人違う。
 蛇足ですが、「むつかしい」も「六ヶ敷」と書いたりする、ちゃんとした日本語。
(1760円 東洋館出版社)
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)

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