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一刀両断 実践者の視点から【第518回】

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論説・コラム

「何のため」を問う

 「一丈の堀を越えぬもの、どうして十丈二十丈の堀を越えようか」。好きな言葉でもあり、戒めにも捉えている言葉である。
 初任から困難校ばかりを望んで赴任してきた経験からかもしれない。
 初任校長の時は、学校事故の裁判が2件あり、学級崩壊3クラス、休職の先生が6人もいた学校を望んで赴任した。校長、教頭を同時に配置換えしていた。赴任当日からPTAの会長と副会長が裁判で争っている事を知った。
 教委へ問い合わせたが満足な回答は返ってこなかった。最後には、「先生の方が得意でしょうからお願いしますよ」。こうして暗中模索の闘いが始まった。
 その中で多くのダイヤモンドの原石を発見できたし、今なお輝いている。お陰様で数多くの裁判も経験できた。
 新しいものを入れるには、古いものを出さないと入らない。道理である。
 政治の世界ではその姿が如実になっている。教育界も加速度的な進歩の中で何のためという問いを重ねながら進化しなければならない。
 困るのは古いという自覚がなくプライドのみ高く自分たちの正義を主張してしまう事である。政治の派閥に似ている。よって若者はついては行かない。
 この判断は、意欲あふれる若者を得られるかにある。それは眼前の1人であり、全てはそこから始まる。毎時学生が目の色を変える授業が継続できている事が嬉しい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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