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教師と支援者のための“令和型不登校”対応クイックマニュアル

19面記事

書評

神村 栄一 編著
傾向の変化捉え、具体策を解説

 不登校収束の見通しが立たない状況が続いている。本書では現在の状況を「令和型不登校」と表現している。この10年に激増した不登校を従来のものと同じように捉え、理解と対応の在り方を更新しないことを問題視している。
 平成までの不登校との違いは、本人のニーズがつかみづらいこと。かなりの割合で治療や特別な支援を要する子が含まれていることとしている。このように第1章で状況分析を行い、第2章では未然防止策について述べている。特に新規出現を抑制するために、不登校リスクを理解し、関係教職員での情報共有の重要性を訴える。不登校リスクの種別や校内外での連携事例などは大変参考になる。
 また、「いじめと不登校」の関係についても事例に基づき詳細に説明を加えている。最近、いじめによる不登校で重大事態として訴えられるケースも増えている。その意味でもいじめの対応は重要だ。さらに生活のリズム、特に「睡眠」の重要性についても触れ、「社会的時差ぼけ」のリスクを訴える。第3部では「事例対応」例として、家庭訪問や保健室登校、適応指導教室などの利用について、また「対話と面接」に際しての留意点を述べている。巻末には支援シートのデータを入手できるQRコードもあり便利だ。いずれにしても不登校に特効薬はない。本書のように、未然防止にチームで取り組むことが重要である。
(2200円 ぎょうせい)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)

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