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元文部科学省キャリア官僚が問う!教育改革を「改革」する。

19面記事

書評

寺田 拓真 著
自殺ゼロ、学校をもっと自由な場に

 令和4年は514人、翌年513人。この数値は小・中・高校生の自殺者数。決して一塊の数として捉えてはいけない。一人一人の命を思う。約30万人の不登校者数と併せ、この現実に目を背けられない。改革は必要だ。
 著者は文科省キャリア官僚として教育改革の中核の任に就き、さらに広島県でも多様な政策を企画立案。20年以上にわたり教育改革を担当。その後、米国の教育大学院へ留学を果たすという経歴から、専門的な内容かと読み始めたが、その文体に語り掛けるような親近感を覚え、熱量の高い内容に引き込まれ、読了時は「今の自分にできることは何か」と真剣に考えた。
 著者は、教育改革することなく「教育を改善」することを目指すという。「子どもの自殺をゼロにする」「学校をもっと自由な場にする」ことがビジョン。本気で立ち向かう姿に感銘を受けた。諦めてはいけないと元気と勇気が生まれる。本書は何度も読み返したくなるほど魅力的。自身の教育改革を描くための15のワークも白眉。評者もこのワークに挑戦。直感的な考えを記してとあるが、簡単ではない。熟考する。ぜひ取り組んでほしいワークである。
 東日本大震災の被災地に赴いたときや米国留学時のエピソードも興味深い。
 教育に関わる全ての方に薦めたい。そして、子どもたちも教師も笑顔になる学校を共に創っていきたいと願う。
(2200円 学事出版)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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