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一刀両断 実践者の視点から【第491回】

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論説・コラム

試練通し「優秀」は分かる

 偏差値重視の学校選びと詰め込み型教育により「独創性」と「知恵」と「面白さ」が優秀の基準から外されて久しい。
 その権化となっている大学が変わらないのだから、日本の衰退は益々加速するだろうという印象を強く感じた。それはある本との出会いによる。
 川上正光著の「日本に大学らしい大学はあるのか」である。1989年に初版となっているので35年前になるが、その指摘は現在も全てに当てはまるものである。
 私は任用を担当してきた経験から人の魅力や優秀さについて常に考えさせられてきた。
 採用する側が偏差値詰め込み型で育てられて来たのだからどうしてもその基準で採用してしまう。これを少しでも変えようと選考方法の工夫改善を毎年のように行なったが納得できる結果には至らなかった。
 今でも鮮明に思い出す選考方法がある。それは大学校に入校すぐに行なった行軍である。
 班を決めて相手を知らぬまま班長を決めて行軍に挑戦すると人間の本質が見え始め優しさや狡さが鮮明になる。その後、再度リーダーを決めて生活がはじまる。
 ある意味での試練を経ないと優秀かどうかは分からないものである。
 仮に今の大学教員はこうした試練が課されたらどう対応できるだろうか。肩書きではなく何ができるかとなると教育学部や教職課程の教員で使える者はわずかではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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