一刀両断 実践者の視点から【第484回】
NEWS「強いリーダー」を育てたい
最近、「強いリーダーはいらない」という風潮が広がっている。皆から慕われるリーダーであり推されるリーダーの事である。
平常はそれでよいが何かの決断が求められた時にこうした人物の調整型が優柔不断となり大きな犠牲を招くことは少なくない。
慕われたいためにどちらにもいい顔をして嫌われないようにする嫌らしさが目につく。これはリーダーとはかけ離れた心情ではないだろうか。
リーダーの視野は高く未来を見据えないと船は座礁する。公共機関である学校などはこの舵取りが公共故に見えにくくなる。
ある校長が学校を立て直した。その実績でその後の経済的基盤、そして役職を得ている。会ってはみたが前評判程ではなかった。
過大評価になっていたので期待していただけに落胆した。ある意味強いリーダーでなく、事務処理のリーダーだったのである。
それはあのカルロスゴーンの如くの経営で最後は私利にたどり着こうとする姿に似ている。
その意味で、いざという時に然るべき判断と行動の出来、平常は穏やかでそんな力量をあえて見せない人物が本物なのである。
こうした人物は必要とあれば全てを敵に回しても揺らがない信念がある。そうした人物の目は遠くを見ていて衒うことはない。私たちはそうした人物となり得る苗木を育てなければならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)