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一刀両断 実践者の視点から【第472回】

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教職大学院生への奨学金返還免除

 《教師になれば奨学金返還を免除 「教職大学院生」対象 文科相が方針》(FNNプライムオンライン)と報じられている。これでどのような影響が出るだろうか。教職大学院の志望者を増やす為の伏線にも思われる。
 教師を増やしたいならば院卒までの猶予はないのではないだろうか。また、今の院に行く学生が学校現場で求められた人材となり得ているだろうか。
 大学院生確保を応援したい気持ちもわかるが、それに返還免除という施策を使うのは正当な事だろうか。
 院は自ら学生を確保できない理由を真摯に反省して改革をしない限り志望者は増える事はないだろう。
 権威と人参ぶら下げの様な事をするのではなく、院から来た教師の力量や資質の向上が明らかならば校長も喜んで推挙するだろう。
 自分のキャリアを高めたい事が目的で院に行く教師は、プライドは高くなるがそれ以外は改善されていないというのが教育現場の感想である。
 奨学金免除はかなり昔にはされていた。その意味では院に限る事で期待が冷めたと感じている関係者のため息が聞こえてきそうだ。まだまだ学校現場の悲鳴が聞こえてはいないのだろう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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