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国際的に見る教育のイノベーション 日本の学校の未来を俯瞰する

16面記事

書評

恒吉 僚子・藤村 宣之 著
教育社会学、認知心理学の視点から提言

 VUCAな時代に対応すべく教育改革が進み、コンテンツベースからコンピテンシーベースへと授業改善している。この教育の転換期に当たり、その方向性を教育社会学・認知心理学の視点から検討しているのが本書であり、世界における日本の21世紀型教育の方向性についても日本の特色を起点にしつつ、問題提起している。副題にあるように、日本の学校の未来を俯瞰し、これからの学校教育をどうデザインするのか。読み応えがあり、大変参考となる骨太な内容だ。
 著者は「教育改革はマクロとミクロがつながらないと全体像は見えない」とし、異なる次元のつながりを意識することの大切さを説く。社会構造やイデオロギー等、次元が違うものを包含して考える必要がある。かなり複雑な営みだ。「しかも目の前の子どもは一般論ではない」の言葉は多くのフィールドワークやアクションリサーチを経た研究だからこそだろう。
 第Ⅱ部では認知心理学的視点から「子どもの学力をどうとらえるか」記述されているのだが、日本・シンガポール・中国を比較した算数学力の特質は興味深く、そこからも日本の教育改革の方向性が確認できる。
 また、日本の教育モデルとして授業研究や特活が海外から注目されている現状から、日本の教育の強みと弱みを見据え、世界的規模で進む教育改革について学べる貴重な書である。
(3520円 勁草書房)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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