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一刀両断 実践者の視点から【第459回】

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教育界の「手土産」

 名古屋市教委の金品授受問題が注目されている。日本の習慣として手土産を持参する風習がある。「いろいろ世話になりました」「世話になります」という儀礼の範囲である。
 大学でも教育実習に学生がお世話になるのに手土産は予算化されている。その手土産でさじ加減をするには至らないが、手ぶらでは行きにくい感覚は今も残る。
 給食代も支払うように指示されており、事務的で煩雑になっているがただで食べてはならないと通達されている。
 便宜を図るならばその金額は桁が変わるだろう。知人の父親は校長になる為に教育長へ100万持参してお願いしたと聞かされた。これが常識になっていたのだろう。同時期の選挙には一票一万円で封筒が渡されたとも聞かされた。
 こうした風土が長い間続いてきた地域では誰も口をつぐんで話さない。ある意味の暗黙の了解となっているのだ。
 お世話になった方への中元や歳暮は私も欠かさず贈っている。それは何かを依頼するためではなく、お元気でいてほしいし純粋に恩を感じているからである。
 この辺りの線引きは個人により異なるのではないだろうか。
 若くしてお金もないのに中元や歳暮を義理堅く贈られてくると、何度となくここ迄にして十分だからと伝える。常識の範囲で済ませるべきと私は思う。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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