「先生」に迷っているあなたへ それでも先生を続ける理由
16面記事あみたろう 著
教師の魅力 漫画でありのままに
著者自身が小学校教師で、子どもたちとの日常をほのぼのとした漫画で描く。教師の仕事のいろいろな面や魅力を、教師になるかどうか迷っている人たちに伝えたいという思いで書かれたもの。とても読みやすく、心がぽっと温かくなるエピソードがたくさんある。
初めての授業が途中からうまくいかず、子どもたちに「ごめんね」という気持ちになったこと。それから一生懸命考えて夜中まで準備をし、それでも不安だったけれど、うまくいったときの喜び。「ああすればよかったかな」と自問自答の毎日。
褒められたときの子どもたちの顔のかわいいこと。恥ずかしがり屋の子をこっそり呼んで褒めたときの、体をくねくねさせて「えー、何がー?」と照れる、かわいすぎる姿。
クラスの目標がこの子を苦しめていないかと不安になることもある。子どもが何かをできるようになってうれしそうにしているのを見ると、「やっぱり先生っていいな」と思える。子どもたちからの手紙が一番の宝物で、疲れたときはそれを見て元気を出す。
どれもよく分かる。教育行政(文科省も)の担当者や保護者にも読んでもらいたい。
「つらいこと」や「かなしいこと」より、「たのしいこと」や「うれしいこと」が大きい。「こんなにたくさん笑える職業ってあまりないんじゃないかな?」という著者の言葉に、私も全く同感。ありのままの教師の魅力を知ってほしい。
(1100円 東洋館出版社)
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)