日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

処遇改善、標準法改正も議論を 大学教授ら

NEWS

Topics

 大学教授らでつくる「教員の長時間勤務解消を求める会」が15日、給特法の廃止や教職員定数改善などを求める署名18万2226筆を文科省に提出した。同日の記者会見で、授業準備の時間を確保するため、教員の持ちコマ数を小学校で週17コマ、中学校では15コマ程度を上限とし、それに見合う教員を配置できるようにすべきだと訴えた。
 愛知工業大学の中嶋哲彦教授は「公立教員には原則超勤を命じない建前があるが、実際には残業が横行している。実質強制されているのが現状だ」と指摘。教員が残業代を求めて起こした訴訟で昨年、教員側が敗訴したことを受け、司法ではなく給特法や義務標準法の改正での解決が必要だと訴えた。
 また、義務標準法について、学校週6日制の下で制定された法律が、5日制になり仕事内容が高度になっているにもかかわらず、中央教育審議会で改正に向けた議論がされていないことに疑問を呈した。
 筑波大学の浜田博文教授は、勤務実態調査の結果から、持ち帰り残業が増えている点を指摘した。授業や打ち合わせ、児童・生徒の緊急的な対応をしていると勤務時間に収まらず、授業準備などは持ち帰りの仕事になっているとした。持ちコマ数を削減して余裕を持って授業準備できるようにするために、義務標準法を改正して教員配置方法を変えていくよう求めた。
 義務標準法は昭和33年、給特法は昭和46年に制定されている。東京大学の小玉重夫教授は、昭和に制定された制度の根幹が今でも変わっていないことに無理が来ているとして、抜本的改正が必要だとした。
 記者会見後は場所を参議院議員会館に移し、院内集会も開催。対面とオンライン合わせて、約130人が参加した。
 日本大学の広田照幸教授は、義務標準法を改正した場合にかかる財政負担額の試算を発表。持ちコマ数を小学校で週17コマ、中学校では15コマ程度とした場合、1人あたりの人件費などを年間700万円として計算すると、増員分で1兆5218億円を確保する必要があるとの見解を示した。
 財源には、教育国債の発行や大企業への資産課税といった方法を提案した。

Topics

連載