楽しく学び、楽しく成長!!誰もが楽しめるまち松山へきとおみや
16面記事地元の高校生が3Dプリンターを使用して松山城のジオラマを製作している様子
新時代に向けた修学旅行の取り組み
令和5年度は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に位置付けられ、ウィズコロナ、アフターコロナの社会経済活動の本格的な回復に向け、改めて進み始めた年だったのではないだろうか。
コロナ禍の松山市の修学旅行受入校数は3年連続で前年度を上回り、昨年度は史上最多を更新した。
これは、今までの誘致活動に加え、オンラインテストツアーの開催や近隣県からの修学旅行に重点を置いた助成金制度の拡充などコロナ禍ならではの取り組みが評価された結果だと考えている。今後はさらなる誘致のため、時流の変化を読んだ取り組みが求められる。
そこで同市では、新規校の誘致や、受入実績のある学校の定着化に向け、助成金制度の見直しや、新メニューの開発を行うとともに、新時代に向けた新たな視点での取り組みを行っている。
松山ユニバーサル・ツーリズム元年
同市では、今年度から「松山ユニバーサル・ツーリズム」と名付けた「受入環境の整備」や「助成金制度」「受入側の意識醸成(心のバリアフリー)」の三つの柱からなる事業を展開している。
「松山ユニバーサル・ツーリズム」は、特別支援学校などの修学旅行でのサポート内容を充実することで、誰もが楽しめる修学旅行先を目指す。
松山ユニバーサル・ツーリズム分科会を設立し、点字・拡大文字教材のブラッシュアップや触察教材として地元の高校生と協力しながら松山城のジオラマを製作するほか、ユニバーサル・ツーリズム専用の助成金制度を創設した。
現在、さまざまな取り組みが動き出しており、今年度は、まさに松山ユニバーサル・ツーリズム元年ともいえる。
注目の取り組み
特に、注目の取り組みをいくつか紹介する。まず、「受入環境の整備」として、特別支援学校の修学旅行に特化した専用パンフレットを作成した。各体験メニューの紹介や、バリアフリートイレなどの設備情報を記載している。
次に、「助成金制度」では、「特別支援学校向けのコンテンツ作成などを支援する助成金」を活用し、視覚障がい者用の体験メニューが開発された。人気メニューである修学旅行ロゲイニング(時間制限内にチェックポイントを回りながら得点を競うチームスポーツ(ゲーム))をアレンジし、同行者とともに楽しめるものになっている。
最後に、「受入側の意識醸成(心のバリアフリー)」について、道後地区の宿泊施設などの関係者に対して、障がいのある方への配慮や応対について学ぶセミナーを開催する。専門家の意見を取り入れながら、当事者の体験談を聞くなど、障がい分野への理解を深めるきっかけとなればと考えている。
誰もが安心して楽しめる旅行先を目指して
同市修学旅行担当者の「松山市で充実した修学旅行を行ってほしい」という願いから、「松山ユニバーサル・ツーリズム」は誕生した。
特別支援学校の修学旅行は、どうしても学校や家族の負担が増える。少しでも、この取り組みが負担の軽減となり、誰もが安心して楽しめる旅行先となれば幸甚だ。
同市は、「楽しく学び、楽しく成長する」工夫を作り上げている最中である。官民の垣根を越え、各業種の関係者と連携し、生まれたてのこの事業をさらに大きくしていきたいと考えている。
特別支援学校向け修学旅行専用パンフレット