日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

一刀両断 実践者の視点から【第414回】

NEWS

論説・コラム

サンタクロースの来日

 《サンタクロースが来日 成田空港で利用客や子供たちと交流 7日まで滞在し各地へ》(テレ朝ニュース)という見出しの記事を見て教頭の頃を思い出した。
 友人の童話作家今西乃子さんは元フィンランド航空職員であり、サンタクロースさんが成田空港から東京へ向かう途中に、私が勤務していた小学校に寄りましょうか、と夢のような話をしてくれた事があった。
 早速、校長に伝えて皆を喜ばせたいと伺いをしたところ、それは出来ないとの回答が返ってきた。理由は、宗教普及の一環になるからとの説明だった。
 確かに起源を探ればそうだろうが、今の日本においてはそう捉える感覚は無い。
 楽しい文化は受け入れて行く良い機会と私は捉えていたが、確かに違和感を持つ人もいたのだろう。
 マレーシアも多民族多宗教の為に相互が融合を拒んだ為に争いとなり多くの人々が死亡した。その為に行った策は、互いの文化を認める為にそれぞれのお祭りの時には皆を招き入れるという交流が浸透して今では相互を尊重するお国柄になっている。
 その校長から言われた事が今でも忘れない。「大久保さんは校長ならいい校長になると思うよ」の一言である。
 確かに、必要ならば校長の権限ですべき事はたくさん出来る。しかし、何事も教委へ相談をするとなると慎重論は避けられない。サンタさんを見る度に思い出す出来事である。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

論説・コラム

連載