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1分間の音声でSDGsを手軽に学ぶ 2024年1月より「SDGsラジオ」の無料サービスがスタート

12面記事

企画特集

SDGsラジオのサイトから興味のある音声データを探す生徒

 SDGsに関する教材やカリキュラムが不足しているという教育現場の声に応え、(株)ケシオンが提供を始めるのが1分間で企業のSDGsへの取り組みを学ぶ「SDGsラジオ」だ。SDGsラジオによってESD(持続可能な開発のための教育)はどのように発展していくのだろうか。国語科の授業で活用した共立女子中学高等学校の実例を紹介する。

学校現場のSDGs教育をサポート

1分間だから使えるシーンが豊富
 SDGsラジオは、企業が一つのテーマでSDGsの取り組みを伝えるラジオ形式の教育コンテンツ。ケシオンはこれまで、400以上に及ぶ学校のブランディング構築や学生募集のトータルサポートを行ってきた。その経験から、SDGsを扱う教材は企業と学校を結びつけるもの、先生たちの負担なく実践可能で、なおかつ教科を横断できるものであることが重要と考えたという。
 音声は1分間と短いので昼休みのチャイムの後や始業前の着席のタイミングなど、時程のなかに組み込みやすい。参画企業は自動車、食品、アパレルなどの製造・販売メーカー、流通、不動産など幅広く、あらゆる教科での活用イメージが広がる。
 SDGsラジオの特長は何といっても、SDGsを「声」で表現していることだろう。「皆さん、SDGsラジオです」でスタートするナレーションは視覚障害者の方が担当。全員がケシオンのパートナー「みみよみ」に所属する声のプロフェッショナルだ。優れた聴覚を活かし、澄んだ声で企業のSDGsへの思いを子どもたちに届ける。

事後学習でさらに理解を深める
 ケシオンは、SDGsラジオに参画した企業と学校を出張授業で引き合わせるなど、音声を聞いてからの事後学習も用意している。実際、SDGsラジオを試験的に導入した学校から、参画企業に出張授業をしてもらいたいという希望が出ており、今後実現していけば企業とのつながりを持つのが難しい教育現場が変わる一助となりそうだ。
 事後学習のフォローツールも豊富に用意している。「SDGs新聞(デジタル)」もその一つ。ラジオの内容からピックアップしたストーリーやそれに関連する事例の紹介、SDGsへのさらなる取り組みの紹介などが、児童生徒の目線に合わせて編集されており、聴くだけでなく見ることで、より知識の定着が期待できる。
 参画企業は、(株)セブン&アイ・ホールディングス、(株)明治など100社程度を予定している。なお、SDGsラジオは企業の教育サポートにより教育機関への提供は無料。気軽に導入できる教育コンテンツとして注目が集まりそうだ。

SDGsラジオを使った授業の実例
共立女子中学高等学校 高等学校1年国語科

新たに広がる環境への興味
 SDGsラジオを国語科の教材として使用したのは、1年1組(担当:米津彩教諭)と1年5組(担当:梶原和音教諭)の授業。テーマは「聴覚情報を視覚化する」。これまで国語科の授業では、情報整理能力を養うために、聴いたことを抽象化して表現する学習を重ねてきた。
 この日聴いたのは、家庭用燃料電池の普及を進める「大阪ガス」と、服のリユース・リサイクル・アップサイクルに取り組む「アーバンリサーチ」の放送。生徒たちはSDGs17の目標のどれに関連しているかを考えながらメモを取りつつ計2分間じっくりナレーションに耳を傾けた。
 次にグループごとにどちらか一つの企業を選んで図式化する。大阪ガスは「水素と酸素から作った家庭用燃料電池でCO2を50%も削減できるってすごい!」という驚きから、アーバンリサーチは「アップサイクルするときは服を色で分ける」という初めて知った知識から選択を決めたグループが多かった。「パッと見てわかるように図は抽象化したものにしてくださいね」という教員の指示を聞き、いよいよ作図を開始。各自iPadを手に意見を交わしながら、ロイロノートを使って絵や字や線を書き込んでいった。
 「水素と酸素が合わさってエネルギーになること、どう表現する?」「分けた色と生まれ変わった商品の色を一致させたら分かりやすいんじゃない?」など、アイデアを共有しながら一つの図を仕上げていく生徒たち。「色分けのあとは裁断したりぺちゃんこにするのかな? だとしたらコストがかかりそう」「CO2削減の省エネ行動は『13/気候変動に具体的な対策を』がメインだけど、『7/エネルギーをみんなに そしてクリーンに』、『11/住み続けられるまちづくりを』、『15/陸の豊かさも守ろう』にも関連するね」など、疑問や関心が広がった。
 授業を受けた生徒からは「音声が短くてわかりやすかった」「SDGsのどの項目に当たるか分かりやすかった」「いろいろな企業の取り組みを誰でも聞けるようになったらSDGsに興味を持つ人が増えると思う」など手軽さと情報の幅の広さを評価する感想が多く上がった。


SDGsラジオの使い方をレクチャーする米津教諭

学校教育になじむ汎用性の高さ
 「1回の聴き取りでは難しいかなと思いましたが、情報を精査して強調したり削ったり、起承転結をつけて話の流れをうまく抽象化していました。教材の良さを実感します」と米津教諭。「企業のサスティナブルな取り組みを知ることができSDGsへの理解が深まりますね。探究の授業では企業とコラボして社会問題の解決を一緒に考える学習もできます。SDGs関連の目標を掲げている企業が多いのでその資料にもなりそうです」と語った。梶原教諭は「企業の取り組みをさらに深堀りして、何クラスかでSDGsラジオプレゼン大会を開くのもいいですね。朝の小テスト後の気分転換や、文化祭のイベントでSDGsについてディスカッションするときなどにも使えそうです」と今後のさらなる授業展開へのアイデアを語った。

実際に授業で使用した音声データ

大阪ガス
 環境に深刻な影響を与える温室効果ガス。家庭用燃料電池を普及させることで温室効果ガスの排出量削減を推進していることや、家庭用燃料電池がどのように作られ、家庭の中のエネルギーとしてどのように活かされているのかを分かりやすく解説。家庭用燃料電池の使用により二酸化炭素の排出量が50%削減できることにも触れている。
 https://www.youtube.com/watch?v=Rp_eXAeHBM4

アーバンリサーチ
 テーマは衣料品のリユース、リサイクル、アップサイクル。違う素材が混じっていて分別しづらいものでも色で分けてリサイクルし、不要になった服を新たな商品へと生まれ変わらせて販売している取り組みを紹介。そうした商品を身に着ける環境に優しい新しいファッションスタイルを提案。
 https://www.youtube.com/watch?v=mlVLYfG7QCY

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 ご活用は無料 2024年1月サービス開始

お問合せ
 株式会社ケシオン  企画部
 大阪本社 Tel.06-6110-8660
 東京支社 Tel.03-6418-7707
 https://www.kesion.co.jp/pd/

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