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シリーズ学級経営(2) 事例で読む学級経営

12面記事

書評

岸田 蘭子・盛永 俊弘 編著 田中 耕治 監修
温かなまなざしと的確な指針

 教師は、子どもたちとの出会いを思い浮かべながら学級経営の構想を練り、新年度を迎える。生活と学習の場である教室が安心できる場所でないと子どもたちの登校する足は重くなる。子どもの多様化が進む現在、学級経営の重要性は増している。 
 本書は「シリーズ学級経営」の第2巻。理論編に続く実践編で、小・中学校九つの事例を紹介。実践を重ねてきた中堅教員が執筆しており、教室での教師と子どもの姿がリアルに伝わってくる。
 入学間もない小学1年生の安心感のある教室づくり、生活科の学びを通して成長を促す2年生、得意な教科を核に「つながる力」を育む中学年、自己指導能力の育成を図る高学年、生徒を「主語」にし、教師が伴走する中学校の事例など、学級づくりのヒントとともに、子どもの発達についても理解することができる。
 また、教師の指導が入りにくかったA男の変容を読み解くことを通して学級経営の本質に迫る中学校の事例は、同質を求めがちな学校文化を見直し、多様性を認める学級経営が大切なことを示唆してくれる。
 学級の風土を創り育てるのは教師と子どもたち。地域や家庭の実態、構成員の個性など、二つとして同じものはない。事例に共通するのは教師の温かなまなざしと的確な指針。子どもと真摯に向き合うことで教師も成長する。学級担任の醍醐味でもある。
 (2750円 ミネルヴァ書房)
 (大澤 正子・元公立小学校校長)

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