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一刀両断 実践者の視点から【第404回】

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問題は「宝塚」だけか

 宝塚歌劇団の事件は想定内の出来事と私は感じられた。何故ならかなりの団員や会社役員の表情に影を感じていたからである。
 トップスターと何度か会話をした事があったが、その位置に酔っているような幼稚さを感じた。役を演じているうちに人間としてのバランスを失い自分を失っているように感じた。
 今回の出来事は生徒間の権力構造が何処にでも存在しやすい事を物語っている。
 それを、いつのまにか容認してしまう傾向が組織には存在する。過重労働の数値は異常であり、それを周りが容認している事自体に組織悪が蔓延っていた事になる。
 命懸けでやる事ではないが、期待と使命感から逃げられなくなっていたとも考えられる。火傷の件は、よくあると説明している点など、落とし所を弁護士などに知恵を得ているようにも感じられる。
 何のために宝塚歌劇団が存在したのか、するのかという原点を忘れて、表に見せる夢とは裏腹にドロドロした醜態の嫉妬や権力争いにこの時期を過ごしていく人生はまさに仮面舞踏会のようである。
 学校での部活動や寮生活などにも同様の事が想定されるし、現実、大麻事件などもその類と思われる。
 メディアの報道に振り回される事なく、冷静にこの事件の対処はあらゆる組織に照らして考えるべきものではないだろうか。
 人が死なないと動かない現実に他人事が加速しているように私には思える。これでいいのか日本!
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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