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一刀両断 実践者の視点から【第392回】

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論説・コラム

 「不快な思いをさせたと言うことで、お詫びします」と知事が記者会見で謝罪したという。この言葉遣いに本音が現れている。
 本来ならば、「不快な思いをさせ」と謝罪すべきところを、「不快な思いをさせたと言うことで」と一言交えた。この一言により、事務的で他人事で、「あなたがそう感じたのならすみません」と聞こえてしまう。
 行政経験も長く知事職を重ねていても、こうした言葉遣いしか出来ないのは慢心のなせる事と思われる。
 「言葉遣いは心遣い」と小学校では指導してきた。歳をとり経験を積んでも蟻の一穴から信頼は崩れていくものである。
 宴席では、普段の素地が出るものである。ユーモアとは思えない所業を出す者もいる。
 気になるのはこうしたリーダーの素地は長年培われて来たのだろうから、これまでの判断や日々の決裁においても同様の判断をしている事になる。リーダーの資質は、ピンチの時や気を抜いた時の言動や判断にすべて現れてしまう。優秀なキャリアを見て人を選抜すると、根幹となる人間力は見えにくくなる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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