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マンガと図解 元開成学園校長が教える 思春期男子の正しい育て方

17面記事

書評

柳沢 幸雄 著
自己肯定感高め自立を促す

 男らしさや女らしさは天性ではなく、後天的な社会風土の差別的所産であり、平等、公平に人間らしく育てるべきだ、という風潮が強い現在、本書は「思春期男子」に限定してその「正しい育て方」と銘打って刊行した。「女の子」とは違うのだ、という明快な立場で一貫した主張を述べている。
 思春期男子が親を避け、言葉遣いや態度が反抗的になるのは自立への成長過程として当然なのだ。だからこそ思春期男子の言い分には、じっくりと耳を傾け、「親が話す量は、子どもが話す半分以下にすること」が肝要と説く。親が指図をせず自分でルールを作らせて守らせ、褒める場合には「水平比較」ではなく「垂直比較」によって励ませと諭す。
 勉強の仕方も「コツコツ」型は女子で、男子は「ドカンドカン」型、つまり、臨機集中式で結果重視の「力配分」が得意なのだ。しかし、「1日5分リビング勉強法」も大切な習慣づくりと説き「集中力」を養えるとも主張している。
 思春期男子に彼女ができたら、家に連れて来させる。出来心を抑えられる「自制心」を育て、万引、飲酒、喫煙は法律違反、犯罪と教え、親には子どもの「監督責任」があるのだときちんと伝えねばならないと力説する。「マンガと図解」で分かりやすく、ずばりずばりと「正しい育て方」を提言する背後には、「得意を伸ばす」自己肯定感育成の哲学が色濃くうかがえる。
(1430円 宝島社)
(野口 芳宏・植草学園大学名誉教授)

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