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「支える生徒指導」の始め方 「改訂・生徒指導提要」10の実践例

14面記事

書評

新井 肇 編著
ポイントを図式化して解説

 編著者は研究者として知られるが、30年間にも及ぶ高校教員の経験を持つ実践家でもある。今回の「生徒指導提要」の改訂について検討した協力者会議では副座長を務めている。本書では、現職教員など主題に沿って多くの方々が自らの経験を交えて、これからの生徒指導について論じた。
 これまでの生徒指導提要の不偏性や分かりやすさは際立ってはいたが、SNSなどの普及により現実との乖離が起きていた。時代の変化に合わせて「『させる生徒指導』から児童生徒の主体的な成長・発達を『支える生徒指導』への転換をめざすこと」などの三つの柱が示された。10の実践例から子どもの成長・発達を支える生徒指導の取り組みを9章にまとめて「改訂の方向性とポイント」と「改訂の方向性をふまえた実践」に分けて解説している。指導への思いが空回りしないように章末に「実践上の留意点」を表示。このポイントを図式化しており、拡大して職員室に掲示することもできる優れものである。
 興味深いのは、8章の「養護教諭としての『性に関する課題』へのアプローチ」である。
 編著者は、どの執筆者もスーパー・ティーチャーやスーパー校長ではないと指摘。ただ、子どもを前にしたとき、自分ができることは何かと自問したり、同僚と論議したり、子どもたちと汗を流しながら、積み重ねてきた実践を、全国を視野に入れコンパクトに仕上げている。良書として高く評したい。
(2310円 教育開発研究所)
(大久保俊輝・麗澤大学教職センター長)

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