日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

子どもと心でつながる教師の対話力

14面記事

書評

渡辺 道治 著
前向きな姿勢引き出す授業術

 学校、家庭、地域のそれぞれの関係が「分断」されている状態を解消することができるのが「対話力」だと著者は主張する。
 著者の言う「対話力」は「プレゼント力」であり、その主な構成要素が「欲しいを感じ取る力(チューニング力)」「欲しいを創り出す力(ディレクション力)」「在り方を整える力(ビーイング)」である。
 第1章、第2章では著者の実践を踏まえながら「欲しいを感じ取る力」「欲しいを創り出す力」によって、どう子どもなどが変容するかが語られ、第3章では「対話力」そのものを解説。「教師自身の『在り方』を整える」については第4章で詳述した。「相手や状況によって微修正ができる『即興力』」(第5章)にも触れているが、強く印象に残るのは、教師としての子ども、授業への向き合い方である。
 教師の対話力は、子どもたちの言動から本人も気付かない価値を見いだし、意義付け、前向きな姿勢を生む気持ちを引き出し続ける力にあるということなのだろう。
 それを支えるのは教師としての覚悟である。だから、「不変」や「他責」に逃げ道を求め、教師自らが努力を惜しむ姿勢には厳しい。
 「飛び込み授業」はもとより、毎日出会う目の前の子どもとつながろうとする「一期一会」の授業が真剣勝負であることが伝わる。多くの教師を引き付けているだろう著者の「在り方」の根源に触れることができる。
(1980円 学陽書房)
(矢)

書評

連載