令和5年 通常国会質疑から【第9回】
NEWS6月に閉会した通常国会では、予算案・法案審議の他にどのような質疑があったか。衆議院文部科学委員会、参議院文教科学委員会などでは、まだ、あまり明らかになっていない政府の考え方などが見えてくる。5月23日の参議院文教科学委員会では、国民民主党の伊藤孝恵氏が、高校段階の不登校問題について質問。中学校までの段階で不登校だった生徒が多く進学するようになった通信制高校について、通学を前提としてないことから、不登校の実態は把握できていないことが明らかになった。
不登校経験者の進路、把握しているか
伊藤孝恵議員 高等学校段階の生徒の不登校について中心的に今日はお伺いしたいというふうに思うんです。
高校における不登校生徒数というのは五万九百八十五人です。全体の一・七%で、小中学校における児童生徒数と比べると、数字上は少ないというふうに見えると思います。私も今回質問に際して国会の議事録というのを検索いたしましたけども、圧倒的にこの高等学校段階の不登校の問題というのを取り上げている質疑というのは大変少なかったです。
この不登校を経験した小学生は、当たり前ですけども、中学生になり、あっという間に子供たち大きくなります。高校に進むときには、全日制の高校に進まない場合は、定時制の高校か通信制の高校、公立、私立ございますけども、それぞれに進学するわけでありますが、大臣にお伺いしたいんですが、この不登校を経験した子供たちがどこに進学をしたか、その進学の割合及び中途退学、続けているのかやめてしまったのか転学したのか、そういった状況、さらにはその後の就学、就職実績等について把握している、そういう調査はあるんでしょうか。
「定・通」では把握
文科相 文部科学省が平成二十九年度に実施をいたしました、これは委託調査研究でありますけれども、小中学校及び前籍校におけます不登校経験がある生徒の割合というのは、全日制のこれ高等学校につきましては把握はしておりませんけれども、定時制の高等学校では三九・一%、そしてこれは狭域の通信制です、これ狭い地域の通信制の高等学校では四八・九%、そして広域の通信制の高等学校では六六・七%でありまして、通信制の高校等では不登校を経験した生徒の割合が高くなっているわけでございます。
また、過去に不登校を経験した者で、全日制の高等学校、定時制高等学校、通信制高等学校別の就職やまた就学ですね、この実績というものにつきましては把握はしておりません。
通信制高校の不登校、把握できるか
伊藤孝恵議員 現在の不登校調査なんですけども、多くの不登校中学生の進学先、転学先として選ばれる通信制の高校というのの生徒数というのは、私は入っていないという認識なんですが、それで間違いないでしょうか。通信制の高校で不登校となっている生徒をどういうふうに、経年で把握できるかも含めて教えてください。
把握できていない
初等中等教育局長 文科省の調査で高等学校、特に通信制でございますかね、その不登校の取扱いはどうなっているかということかと思います。
調査の仕方としては通信制を排除しているというものではございませんけれども、しかし、実態としてその不登校という、通学を前提としていないのが通信制でございますので、その中で不登校というものが必ずしも把握できていないという現状にあるのではないかというふうに考えております。
高校生にも小・中学生のように支援を
伊藤孝恵議員 二〇二一年度時点で、高校段階の生徒に伴走する不登校特例校というのは全国でたった四校です。教育支援センターやフリースクール等の民間施設も高校生を対象とするのは少ないそうで、それぞれ相談、指導を受けた割合は〇・六%というふうに伺いましたので、これ機能していないと言わざるを得ません。
こういった小学校、小学生、中学生に行っている支援というのをこれ高校段階にも拡充すべきではないかと思うんですけども、文科省、いかがでしょうか。
検討していきたい
初等中等教育局長 不登校の問題が深刻化しているわけでございますけれども、数字で示されておりますように、小中学生が二十四万人、そして高等学校では五万人という数字になっているわけでございますが、その中には、今御指摘ありましたように見えない形になっている、実質不登校に近い状態にある子供たち、これが放置されている状況があるのではないかというふうに考えております。
高等学校の今後の在り方として、そうした不登校の子供たちへの支援をどういう形でやっていくのかというのを、これを今後しっかり検討していきたいというふうに考えているところでございます。