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教育と福祉が出会う支援 子ども・教師・専門職がつながる学校・地域をめざして

14面記事

書評

山本 理絵・望月 彰・愛知県立大学「教育福祉学研究会」 編著
多数の事例が物語る連携の大切さ

 不登校、いじめ、子どもの貧困など、現代の学校には多くの問題が噴出している。そうした問題が発生する背景には、さまざまな要因が複雑に絡み合っている。当該の子どもの性格や資質などの個人的要因だけを取り出して対処しようとしても、問題の解決にはなかなか至らない。その子どもが暮らしている家族や人間関係のありよう、さらには、子どもが生活している地域の地理的条件や産業構造など、多様多層の環境要因が子どもに影響を及ぼしている。従って、子どもを生活者として見ることが極めて重要なのだ。
 教師の視点からだけでは、生活者としての子どもの全体像を捉えることは困難である。家庭や地域での子どもの様子を把握し、教師と連携しながら子ども支援に当たるのが、本書で紹介されているスクールソーシャルワーカーである。
 ソーシャルワークとは、当事者に寄り添い、彼らのウェルビーイング(より豊かな生き方)の向上を目指した福祉の専門的支援である。本書では、学校という場において、子どもの権利を尊重し、彼らが抱えている困難の解決を目指す実践事例が多数紹介されている。そこからは、連携や協力による支援の力強さが伝わってくる。本書は、長年の共同研究の成果に裏付けられたものであり、それ自体が連携、協力の大切さを示している。
(2420円 溪水社)
(都筑 学・中央大学名誉教授)

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