一刀両断 実践者の視点から【第344回】
NEWS高校入試のデジタル化
《千葉県内公立高入試、6年度からマークシートやデジタル採点 県教委、採点ミス踏まえ改善策》(産経新聞)という見出しの記事が出された。やっと始まったのかとその対応の遅さにため息が出た。
こうした取り組みは問題が起きる前にすべきであり、人為的にする限界を理解しているのだから早目に改革すべきである。それが出来なかったのははっきり言って予算をつけてもらえなかったからだろう。
担当の苦慮は計り知れない。まさに地雷を踏むかのような心理になってその作業をこなして来た事が推測される。
今から30年前に私は同じ課題に直面していた。採点ミスが目についたからである。その時に県の行政採用試験はすでにマークシート方式で心理テストも丁寧に課されていた。
教員採用試験は全て手作業であった。財政に掛け合っても今まで出来たのだから必要ないと跳ね返された。すなわち県の職員の採用に掛ける費用に比べて教員採用に掛ける費用は10分の1程度にされていた。実技試験にも保険さえ掛けて貰えてはいなかったのである。
担当とやり合う中で、仮に死亡者が出たらその負担は大変な額になるがいいかと迫った。許可は出たが支出は現在の予算から支出せよとなった。
こうしたやり取りを経て今回実施になった事は評価したい。私の場合、四面楚歌の中、余暇時間でのみ許された。
マークシートも定規で枠を作りシステムも見よう見まねでプログラムし応援はない中で組み上げた。
開示システムも同時に開発したが、通常の業務をこなしながらの苦戦苦闘であったことを懐かしく思い出す。
気になるのは、入力ミスやシステムの不具合を想定した復旧並びにセキュリティシステムが完璧になっているかにある。ここを曖昧にするとデジタルだけにそのミスは計り知れない。機械は疑わなければ用いてはならない。自戒。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)