ZEN呼吸 「健康」は白隠さんから
17面記事椎名 由紀・横田 南嶺 著
柔らかな心身保つ手法を伝授
高校時代から続く原因不明の体調不良を抱えていた著者の一人の椎名由紀さん。30代の初めに知り合いから勧められた「呼吸法」を試し、それにより調子を取り戻していく姿に驚きを隠せなかったという。その手法をきちんと体系化しようと考え、たどり着いたのが江戸時代の健康本「夜船閑話」だった。そして独自メソッドとして生み出したのが、呼吸を健康の土台に置くZEN呼吸法になる。
そんな椎名さんが10年来憧れ続けていたのが横田南嶺・臨済宗円覚寺派管長。円覚寺(神奈川・鎌倉市)で行われていた日曜説教にも一人で通っていた。横田管長はYouTubeの配信にも力を入れ、それを視聴していた椎名さんのお礼の一通が本書を発刊するきっかけになったという。
全三章。第一章では著者二人による対談(椎名さんの抱えていた体調不良の経験が中心)を掲載している。第二章では具体的なZEN呼吸法を、第三章では「健康」という言葉を生んだとされる白隠禅師を紹介。この他にも、巻末には「夜船閑話」の現代語訳を掲載している。
高校生だけでなく、ストレスなどで体調を崩しがちな小・中学生も少なくない。「人生で今日が一番、健康で元気です!」と語る著者の椎名さん。自らの体調不良と向き合い、その改善に向け、柔らかな肉体・精神を取り戻せるような内容を扱う一冊になっている。
(1760円 春秋社)
(斉)