日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

新課程対応の共通テスト 方針は

12面記事

Topics

 大学入試センターが6月9日、新学習指導要領に対応した令和7年度大学入学共通テスト(令和6年度実施)の出題教科・科目や問題作成方針を公表した。出題教科に「情報」が追加される他、国語では近代以降の文章(現代文)の問題が増えて、試験時間が延長されることなどが示された。変更点と新科目の問題作成方針を概観した。

「情報」追加
国語で大問増、時間延長
地歴、公民、数学は再編
出題教科・科目の変更点

 令和7年度共通テストの出題教科・科目は7教科21科目になる。教科「情報」が増える一方、地理歴史、公民と数学の出題科目は再編されるのが特徴だ。
 各教科の主な変更点では、国語は現代文の大問が一つ追加され3問構成になり、試験時間は10分長い90分になる。配点は現代文が110点に対し、古典は90点(古文45点、漢文45点)。追加される現代文の大問として、昨年入試センターが公表した試行問題では、気候変動が健康に与える影響についてリポートを作成するという言語活動の場面で、グラフや報告書などを的確に読み取る力が問われた。
 地理歴史と公民は6科目に再編される。選択方法には

 ・必履修科目と選択科目
 ・必履修科目同士

 ―の組み合わせがあり、最大2科目選択できる。その場合、同じ名称を含んでいる科目は選べないなど組み合わせに制限があるため、確認が必要になる。新科目の「地理総合」の試作問題では難民問題などが取り上げられ、「歴史総合」「世界史探究」では個別の知識より、より大枠の歴史的概念を問う問題が出された。
 数学はグループ(2)が「数学II、数学B、数学C」の1科目になった。選択問題が一つ増え、4項目のうち3項目を選んで解答する。数学(2)も試験時間は10分増の70分となる。
 既卒者などの旧課程で学んだ人には地理歴史、公民、数学、情報の4教科で経過措置科目が出題される(理科は必要に応じて選択可能な問題を出題)。「情報」については、旧課程の「社会と情報」「情報の科学」のどちらを履修していても、不利益が起きないように選択解答させるとしている。

 入試センターの教科「情報」の出題方針を受けて、国立大学協会は昨年1月に基本方針を公表している。共通テストでは原則、「情報」を含む6教科8科目を課すこととし、情報の利用方法について各大学がホームページで公表するよう求めた。各大学では相次ぎ利用する方針を示しているが、北海道大学と徳島大学が利用を見合わせることを表明。香川大学と高知大学では成績の総合点が同点の場合だけ利用するなど、一部で足並みがそろわない現状もある。

学習「過程」重視の内容に
問題作成

 問題作成の基本的な考え方として、高校教育で身に付けた知識・技能や思考力などを問う内容とするのに加えて、学習の「過程」を重視した内容とすることを示している。例えば、社会や日常の中から課題を発見し、解決方法を構想する場面、資料やデータなどを基に考察する場面―などを問題に設けることで、探究的に学んだり協働的に課題に取り組んだりする過程を取り入れるとしている。

異なる分野の文章組み合わせ
国語

 国語は文章の内容を多面的・多角的な視点から解釈したり、目的や場面に応じて情報を的確に理解したり、より効果的な表現に向けて検討、工夫したりする力を求める。近代以降の文章(論理的文章、実用的文章、文学的文章)、古典(古文、漢文)を題材とし、記録・要約・説明・論述・話し合いなどの言語活動を重視する。大問ごとに一つの題材で構成し、異なる分野の文章などを組み合わせた複数の題材から成る問題を検討する。

系統地理と地誌両分野関連付け
地理総合

 「地理総合」は、地理に関わる事象の意味や意義、特色や相互の関連を多面的・多角的に考察したり、地理的な課題解決に向けて構想したりする力を求める。問題作成に当たっては地域をさまざまなスケールから捉える問題や系統地理と地誌の両分野を関連付けた問題を検討する。

時代・地域を超え特定のテーマで
歴史総合

 「歴史総合」は歴史に関わる事象を多面的・多角的に考察、構想する過程を重視する。用語などの個別の事実に関する知識だけでなく、歴史の事象の意味や特色などを歴史的見方・考え方を働かせながら考察したり、課題解決を構想したりする力を求める。問題作成に当たっては、例えば、教科書で扱われていない資料でも、知識を関連付ける問題や時代・地域を超えて特定のテーマを考察する問題を検討する。

文章や資料読み解き考察
公共

 「公共」は現実社会の課題解決に向けて考察する過程などを重視する。基礎的・基本的な概念や理論を活用し、文章や資料を読み解きながら考察する力を求める。

生活・社会の事象数理的に捉える
数学

 数学の問題発見・解決の過程を重視する。問題作成に当たっては、概念や原理を基に考察したり、数学の良さを認識できたりするような題材を検討する。例えば、日常生活や社会の事象などを数理的に捉え、数学的に処理できる題材、教科書では使われていない数学の定理を、既習の知識を活用しながら導くことのできるような題材が考えられる。

プログラミング独自表記を使用
情報

 「情報」は情報技術を活用した問題の発見・解決の探究過程や情報社会と人間との関わりを重視する。
 問題作成に当たっては、社会や身近な生活の中の題材、受験者にとって初めて触れる資料等に示された事例について、情報社会と人との関わりや情報の科学的な理解を基に考察する力を問う問題などを検討する。
 プログラミングの問題を出題する際は、受験者が初見でも理解できる入試センター独自のプログラミング表記を使う。

Topics

連載