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一刀両断 実践者の視点から【第312回】

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立場があっても相談を

 長野県中野市で衝撃的な事件が起きた。ここまで分かっていても犯人とはせずに容疑者とするのだから慎重なのだろう。父親も母親も良かれと思って努めてきた事が推測される。
 「家庭内別居」という言葉がある。生活空間は同じでも意思疎通もなく会話がない状態の事である。犯行後、自宅へ戻り、説得されて素直に出てくると言う結末からどのように説得したのか気にかかる。もう十分やっただろ、死刑になりたくなければ出てこいといったところだろうか。
 中学の文集には一番大切なのは命、二番目はお金と書いていたそうである。この青年の変容は都内の大学へ行って帰ってきてからと言う。
 犯行はゲームのように行い服装は迷彩服となると、その幼稚さはゲーム感覚と思える。警察官への発砲も笑みを浮かべてとなると、バーチャルとリアルの区別が出来ない行動にも思える。
 親の心が見事に伝わらずに大惨事を招いた原因は何処にあるだろうか。それは関わった全ての人にチャンスはあったとも言える。
 責めても失われた尊い命は帰っては来ない。こうならないようにするには何が必要だったのだろうか。
 議員という立場があっても、辛いことや厳しい実態があるのなら、信頼できる人に相談し行動する事が必要ではなかっただろうか。確かに格好は悪いが、結果としてあのような事件を未然に防げたのかもしれない。プライドはすぐにでも捨てて第三者の介入を求めるべきではなかっただろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)
 

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