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HSCがありのままで幸せになれる教室 教師が知っておきたい「敏感な子」の悩みと個性

16面記事

書評

杉本 景子 著
安心できる学級づくり、関係の築き方

 アメリカの心理学者、エレイン・N・アーロンが1996年に提唱した新たな概念「HSP」(Highly Sensitive Person)にあてはまる子ども(Child)を「HSC」として取り上げた。HSP(HSC)は「人口の15%から20%」ほど存在するといわれ、その気質は何事も深く考え処理する、過剰に刺激を受けやすい、感情の反応が強く共感力が高い、観察力や察知力に優れている―などの特徴があるという。
 本書ではHSCについて知ることから始まり、こうした気質の子どもが安心できるクラスづくり、教師ができること、子どもたちがよりよく学ぶために必要なこと、個別対応ケーススタディを全5章にわたって解説した。
 著者は、これから生きづらくなるからと善意からでも気質の矯正はせず、しかも特別な子どもとしてレッテルも貼らず、ありのまま受け入れてほしいと説く。その気質は「心のリーダー」として成長する可能性を秘めていると期待するためだ。
 教師に対して目の前の子ども一人一人の気質に目を向けること、物が言いやすい雰囲気づくりや子どもとの関係を築くこと、言動の要因・背景に注意することを求めている。
 HSCへの理解は大切である。同時に、こうした教師の子どもへの向き合い方は、どの子にとっても「幸せになれる教室」実現の道につながっていくのではないだろうか。
(1980円 東洋館出版社)
(矢)

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