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ライフコーチの視点から 現代を生きる子ども・若者のリアル【第3回】

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論説・コラム

嫌われることへの恐怖心

 ―私も、人に嫌われるのがとても怖くて自分の意見を言うことができていません。初対面の人にも嫌われたくないという気持ちもあり、そこまでしなくてもと親に言われたことがあります。でも、人に嫌われるってとても怖いことだと思います。なぜか確証もないのに恐怖心があります。今日の講演を聞いて、同じ気持ちの人がいるんだと思って少し安心しました
 私は、将来心理学を学んでみつはしさんと同じような道に進みたいと思っています。そのため、みつはしさんの講演がとても後押しになりました―

 ―私は今まで苦手なことは何と言われたら、「断ること」と答えていました。
 今日みつはしさんのお話を聞いて、嫌われることが怖くて断れなかったと気づきました。自分でも薄々気付いていましたが、もっと自分と向き合っていきたいと思いました。自分を好きになっていけるよう、自己肯定感を上げていきたいです―

 ―みつはしさんの過去の話は、状況は違えど自分の人生と重なる部分もあったので色々と考えることがありました。特に人の顔色をうかがって、嫌われないように生きるという点はとても共感できました。自分は先生とは逆で、昔は学校に居場所がなかったのでその頃の癖で今も外では人に嫌われないように笑って過ごしていることに気づけました。
 なので、今日の講演の「NOといっても嫌われるわけではない」と「助けてくれる人は周りにちゃんといる」という二点はこれからの人生でとても参考になる考えだなと思いました。今は周りに支えてくれる友達がたくさんいるので、無理をして抱え込みすぎずに辛いときは彼らにしっかりと頼ろうと思います。
 そして何よりも、自分の気持ちに素直になって生きていこうと思えました―

 講演後の、高校生たちのリアルな声。

 人に嫌われる怖さや不安…。きっと、多くの人が感じたことがあるのではないか。
 私自身、家庭が安心できる場所ではなかったからこそ、居場所を失うのが怖くて、嫌われたら居場所がなくなる気がして、気付けば選択の基準が「どうしたら人に嫌われないかどうか」になっていた過去がある。主語が「自分」ではなく「誰か」になっていることにも気づいてはいなかった。

 そして現在、本当に多くの子ども、若者たちから同じような声を聴くことがある。
 「主体的に!」「個性は強み!」そんな言葉が聞かれるようになってきた現在でも、自己主張をするより、人と同じであることで安心したりする。

 ただ、今になって思うのは、相手がどう思うかではなく、自分がどうしたいかで行動した時に「本当に嫌われたのか?」ということ。もしかしたら「嫌われると思い込んでいた」だけなのかもしれない。

 さらにいえば、嫌われたくなくて相手に合わせたとしても、嫌われることはある。
 「人に嫌われないこと」を基準にすると、嫌うか嫌わないかは、その人に委ねることになり、自分ではコントロールはできない。不確実なものを追い求めることで、さらに苦しくなるのではないか。
 そもそも、生きていくうえで全員に好かれること自体が難しい。
 だとしたら「人に嫌われない」ために自分をないがしろにするよりも、「自分に嫌われない」「自分に好かれる」「自分が喜ぶ」選択をする方が、確実で幸せではないだろうか。
 そしてそれをしてあげられるのは、自分だけ。
 なぜなら、自分の心の声を聴けるのは、自分だけだから。

中高生の心を開く専門家/ライフコーチみつはしあきこ
 幼少期に父親から虐待を受け、学校では、いじめの標的になった経験を持つ。成人後も、自分の思うような生き方ができなかったが、東日本大震災をきっかけにコーチングを学び、独立。3兄弟の母。ホームページ(https://mitsuhashiakiko.com/)に情報多数。

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