田中　博之　著
自信培い「なれる自分」の幅広げる

　日本の子どもたちの自尊感情と自信の低さが大きな課題となっているが、これを高めるための指導法や学習法は確立されていない。そこで本書は、子どもたちの自尊感情と自信を高めるとともに、多様な資質・能力を主体的に身に付けて、「なれる自分」の可能範囲を広げる自己成長力という新しいコンピテンシーを育てる方法を具体的に提案している。
　授業実践として、「成長力アンケート」や「はがき新聞」を活用した自己成長学習、教科学習・総合的な学習の時間・特別活動における成長発表会など、自己成長を促す事例を豊富に示すとともに、実践に活用できるダウンロード資料（成長力アンケート、成長力レーダーチャート作成ソフト）を提供している。
　中央教育審議会の副会長・教育課程部会長として学習指導要領改訂を長きにわたり主導してきた梶田叡一氏との対談「自己を育てる教育の在り方とは？」も収録、これからの教育の在り方を指し示し、本書の結びでは、「次期学習指導要領の改訂では自己成長をキーワードに！」と提言している。
　「推薦の辞」を寄せた梶田氏は、「この本に述べられているメッセージを受け止める中で、『教育ということの核心』は何であったのか、もう一度考えてみていただきたい」と訴えているが、教育実践に真摯に関わる先生方、教育行政に携わる方々に、広く読んでほしい書である。
（２７５０円　金子書房）
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